会長から住民の皆様へ ~ 結核は昔の病気ではありません ~
田村地方に隣接する郡山市におこった結核集団感染のニュースに不安を感じている方もあるかと思われます。
昨日10月2日に郡山保健所が開いた会見がテレビ報道され、本日の新聞にも掲載されました。
最初に報告された感染事例は、8月に60代の男女2人が結核を発症し関係先の高齢者施設の利用者、家族などに検査をおこなったところ、新たに2人の発病がわかり、発病していない30人が結核に感染していることが判明しました。
ここで4人が発病していることになります。
発病とは感染した後、結核菌が活動して菌が増殖した結果、症状があらわれることですが、初期には一般に咳・痰・発熱(微熱)が長く続き、しだいに体重減少・食欲不振・寝汗をかくなどの症状が現出します。さらに進むと全身の倦怠感・息切れ・血痰が見られるようになり、呼吸困難へと進行します。早期診断と治療がいかに大事なことかがお分かりになると思います。
風邪の症状と似ているため、見逃されがちですが、風邪の場合症状が2週間以上続くことはありません。また、結核では風邪によくみられる喉の痛み・鼻水・鼻づまりなどの症状が見られないことが特徴です。
早期発見のために咳や痰・微熱などの症状が2週間以上持続するときには、結核を疑ってすぐに医療機関を受診してください。
発病すると排菌(体内の結核菌が咳やくしゃみによって体外に排出される状態)する状態になります。咳やくしゃみによって飛沫として周囲に飛び散った結核菌は、周りの水分が蒸発すると空気中を浮遊し、それが鼻や口から吸いこまれて新たな感染者を増やします。
これを飛沫核感染または空気感染といいます。また、この事例では発病に至ってはいないけれど30人の方が結核に感染していることが判明していますが、この方たちは結核菌を吸い込んだことで感染はしたのですが免疫の力で発病しないで済んでいるのだと思われます。この状態では排菌することはありません。日頃から免疫力を高め、高齢になっても免疫力を維持していくことが大切です。
さて次に報告された事例は、9月に郡山市の医療機関勤務の60代男性が結核を発病されたということですが、保健所の調べによればこの方の接触者が2700人に上り、今後順次説明会や検査を実施するということです。今後の推移を見守ることが必要です。
先に述べた通り、結核は症状が風邪と似ていることもあり本人も長く気づかないことがあるため、この間に知らずに多くの人に接触してしまうことがあるのです。
早期発見が大事です。繰り返しますが、咳・痰・発熱などの症状が持続している方には、早期の医療機関受診をお願いいたします。
さらに、早期発見には検診です。結核は高齢者に多い病気です。それは長い人生の中で感染しても発病しないですんでいた方が、加齢によって免疫力低下の状態になって発病することがあるからです。65歳以上になったら毎年検診を受けて結核が発病していないか確かめましょう。
高齢者と同様に、抵抗力が弱い乳幼児はBCG接種を受けておくとよいでしょう。